箕面の森アートウォークについて
箕面は、古くから大滝と紅葉で知られ、年間200万人もの人々が訪れる北摂屈指の観光地です。
アートウォークが開かれる滝道には、1350年もの長い歴史があります。古くは、658年、役行者が大滝のもとで修行をしたと言われています。以来、滝道は人々の往来が頻繁にあり、また、西江寺、瀧安寺など歴史的な建造物もあり、もはや箕面はまったくの原生的自然ではなくなっています。人間の営為が加わった自然なのです。つまり、文化的、歴史的な意味を担った自然(二次的自然)と言えます。
そうした長い歴史に支えられた、人間と自然の豊かな関係において拓かれた滝道に美術作品を設置することは、美術の視点においても、観光の視点においても意義のあることです。
本イベントでは、関西を中心に活躍している現代アーティストを招待し、箕面の自然・歴史的建造物・史話・施設などをテーマにしたサイトスペシフィックなアート作品を阪急箕面駅から大滝に至る滝道沿いやその周辺の施設や店舗などに、設置します。また、サイトスペシフィックなダンスパフォーマンスも企画しています。
サイトスペシフィックアートは、文字通り設置される環境や文化、歴史そしてそこに関わる地域の人々の生活を反映した作品を指します。その地域の人々の生活に密着し、現代アートの仕掛けによって来訪者(観光客・観客)が箕面の歴史、文化(風土)とかかわり、風景の再発見に繋がる、そういったアートイベントを企図しています。
箕面の森アートウォーク2020開催のにあたりコンセプトを冊子にしました。
「―私見・サイトスペシフィックアートの制作に臨んで―、
美術家として知っておきたい箕面山の歴史と文化」
内容
1.箕面の森アートウォーク 2020 とは
2.箕面について
3.現代から役小角が見た古代の箕面を俯瞰する
3.1 箕面山とその霊力
3.2 箕面山南麓の集落、池ノ内村と隻牛村そしてその支配者たち
3.3 小角、葛城山から三 鈷杵を求めて箕面山へ出立
3.4 池ノ内村の人々の生活 3.5 呪術師小角、霊山箕面との邂逅
3.6 集落の人々の宗教、仏教による山岳信仰(神道)の顕在化
3.7 神道と仏教における親和性
3.8 山岳信仰(神道)と仏教(雑密)の習合の始まり
3.9 三鈷杵を求めて箕面山の大滝へ
3.10 修験道に見る今日の日本人の宗教観の芽生え
4.箕面の森アートウォーク 2020 とサイトスペシフィックアート
<A4サイズ16ページ、カラー>
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箕面の森アートウォーク2020コンセプトブック
ダウンロード▼ |
★箕面の森アートウォーク2020コンセプトブックは
コンテンポラリーアートギャラリーZoneにて配布しています。
箕面の森アートウォーク2020開催中は西江寺の案内所にて配布予定。
ご希望の方はお申し付けください。(※数に限りがあります) |
2020年にあえてアートウォークを開催するに至った経緯
2011年から隔年ごとに実施している箕面の森アートウォークを、今年の秋の開催に漕ぎつけるまでに紆余曲折があった。
前回は2017年に実施しているので、本来は2019年が開催年に当たる。その前年の2018年の9月4日に台風21号によって、箕面山は甚大な被害を受けた。滝道のなかでも深山幽谷の景を呈していた修行古場から唐人戻り岩の辺りの杉林の古木が、数十本強風でなぎ倒された。また、滝道が数か所崩落して、通行禁止になった。この台風で最も被害が大きかったのが、瀧安寺の堂宇の破損だ。瑞雲橋から鳳凰閣は、箕面の森の象徴的な光景である。鳳凰閣や庫裏、客殿の損傷は、見るに堪えない姿を曝すことになった(現在は再建中)。そのため、滝道にある施設や寺院や広場を「場」にサイトスペシフィック・アートを展開する箕面の森アートウォーク2019は翌年に延期せざるを得なくなった。
しかし、今年は、中国武漢に端を発した、新型コロナウイルス感染症が急激な勢いで日本中に広がった。大阪も例外ではない。今日に至っても、未だ終息の気配をみせない。政府から、不要不急の外出自粛や休業要請があり、多くの画廊や美術館が、昨年から企画していたイベントなどの中止に追い込まれ、臨時休廊、休館を余儀なくされた。ここ数か月、外出自粛により、人々は密集する場を避けるようになった。祭事や演劇や音楽活動までもが中止になり、地域文化が萎縮していくのを目の当たりにした。このまま、この状況が長引けば、と考えると、座視できなくなり、箕面の森アートウォーク2020を開催すると腹をくくった。
アーティストは発信する場が必要である。いつ終わるとも分からないコロナ禍に戦々恐々として何もしない手はない。怖ず臆せずしかし感染防止のため細心の注意を払って、取り組めば人々に迷惑をかけないのではないか。コロナ禍は、人々を社会から隔離し社会活動や文化活動を、荒びれ廃れさせる。今こそ、地域社会や住民とともに活動することで、アートが力を発揮し人々に心の潤いを取り戻す時ではないだろうか。
中谷 徹 箕面の森アートウォーク プロデューサー
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箕面の森アートウォークロゴマークについて
光の三原色から変化させた、それぞれの色に意味を持たせました。
赤=アーティスト、緑=場(箕面の地)、青=コミュニティー、また、それと同時に、箕面の森を三次元的にも表したデザインになっています。
赤=紅葉の箕面、緑=新緑の箕面、そして青=渓谷から仰ぎ、木々の隙間から見える青い空と、流れ(落ち)る水(=滝)です。アーティスト(赤)×箕面の地(緑)×コミュニティー(青)、この三つが交差する(交わる)「箕面の森アートウォーク」。
それぞれの色が影響し合い別の色が生まれ、すべてが重なる真ん中の白。そこには、どんな色が生まれるのか? その場で目撃していただきたい。 デザイン:わにぶちみき、橋本修一
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